6軸制御型ドライビングシミュレータ
ドライビングシミュレータ(模擬運転実験装置)は,CG(Computer Graphics)生成装置および被験者に加減速度や振動を体感させるための動揺装置から成る実験装置であり,VR(Virtual Reality)環境下において,模擬的に被験者が運転を行い,その運転挙動をデータとして収集するものである。道路交通における主要課題である交通事故と渋滞の原因は,突き詰めれば自動車を運転するドライバーの認知・判断・操作面での問題に行き当たる。このため,様々な道路・交通条件の中で,安全に被験者の行動を観測できるドライビングシミュレータは,交通工学分野の研究において,非常に有用な実験装置といえる。
本ドライビングシミュレータでの主な計測可能データは次の通りである。車両位置,角度,エンジン回転数,ギア段数,速度,角速度,角加速度,ステアリング量,スロットル量,ブレーキ量,道路始点からの距離,道路/車線中央からの距離,車線番号などである。
本シミュレータの特徴として,次の 3 点を挙げておく。1)車線変更等の運転操作を観測するため,55 インチの LED 5 面にて視野角 180 度を確保するとともに,ルームミラー,ドアミラーに相当するディスプレーも装備している。2)UC-win/Roadの機能により,利用者自らが容易に道路を設定できる。3)ナビゲーションシステムからの情報提供の効果も検証可能である。
近年では,交通工学分野での適用にとどまらず,分野横断的研究として地震やゲリラ豪雨発生時のドライバーの対応行動を観測,分析し,防災・減災のための工学的研究にも活用している。以下は,これまでに本シミュレータを用いて実施した研究の例である。
・都市高速道路における年齢層に着目した合流支援情報提供時の行動分析
・自動車専用道路事故多発区間における交通安全対策事業実施の車両挙動への影響分析
・ドライビングシミュレータを利用した赤信号切り替わり情報提供時の車両挙動分析
・室内実験による地震発生時の行動規範認知の車両速度への影響分析
・生活道路の交通安全対策としてのハンプ及びイメージハンプ導入検討におけるドライビングシミュレータの活用可能性
・模擬走行実験による自動運転からドライバーへの権限移譲時の影響に関する研究
工学研究科都市社会工学専攻
(1) 京都大学(以下「本学」という。)の教職員又は学生のうち、専攻又は本学大学院工学研究科社会基盤工学専攻に所属するもの
(2) 本学の教職員又は学生のうち、前号以外のもの
(3) 国、地方公共団体、国立大学法人若しくは大学共同利用機関法人、独立行政法人又は教育・研究を事業目的とする法人若しくは団体に所属する者
(4) 企業等において研究開発に従事する者
(5) その他管理責任者が適当と認める者
マニュアル等により操作方法を理解いただいた上で、利用者自身で実験を実施。
社会基盤工学専攻空間情報学研究室
075-383-3299
http://www.gi.ce.t.kyoto-u.ac.jp/